自分のブログも含めてですが自律神経において「交感神経」が優位になることで病気になりやすいという話をよく聞きます。そのため「交感神経を刺激するな、副交感神経を刺激しろ」という方向になります。
確かに免疫に関わる白血球(リンパ球)の数や活動性は交感神経が強く働くと低下します。そして逆に白血球(顆粒球)の数や活動性が上昇することで体の中を傷つけてがんになりやすくもなります。
このようなことを考えると「だったら人間はなぜ交感神経というものを体に作ったの?なきゃいいじゃん。」となります。
しかし、人間はこの交感神経を手に入れることによって時代の変化に適応し絶滅を逃れてきたのです。
そこで今回は改めて人間に備わった交感神経の働きについて再確認したいと思います。
Contents
交感神経とは
そもそも交感神経の「交感」とはどういう意味があるのでしょうか?
交感は英語でsympathy(シンパシー)、つまり共感、共鳴、思いやりという意味があります。なんかこの時点で交感神経に対する印象が変わりませんか?
共感してくれてる。思いやりがある。やっぱり交感神経は悪者ではなさそうです。では交感神経の働きにはどういったものがあるのでしょうか?
交感神経の働きは「闘争か逃走」
交感神経には体中の血液の流れを調節したり、汗をかかせたりして体温調節をする働きもありますが、中でも最も重要な役目が「危険からの回避」です。
一般的に交感神経の働きは危険に対する「闘争か逃走」反応と言われています。
獣や敵に襲われそうになった時、人は獣や敵と戦うか、その場から急いで逃げるかしか生きのびる方法がありません。
戦うにしても逃げるにしても走ったり、木をよじ登ったり、相手に攻撃したりするために体中の筋肉にたくさん血液を送らなければいけません。
そのため、胃や腸などの内臓の機能を一時中断させ、心臓の働きを高めて血圧を上げ、血液をたくさん送り出す必要があります。
また、武器を持ったり木をよじ登るときは手が滑ってはいけないので手のひらに汗をかかせて滑らないようにするのです。(汗のかきすぎで逆に滑るのではと思った方はおそらくその他の体の反応によるものが付属しています。具体的には精神性発汗というものです。またいつかお話ししますね。)
これらはどれも交感神経が緊張してはじめて起こる反応なのです。
また、冬山の寒さや南国の暑さなども身体にとっての危険因子となります。極端な寒さにさらされると体温は急激に下がってしまい死んでしまう危険があります。逆に極端な暑さにさらされると体温は急激に上がってしまいこれも生命の危険になります。
体はこれらを感知し、脳から身体を温めたり冷ましたりするための指令を出します。そして、これらも交感神経が担っているのです。
このように交感神経は、危険を察知してただちに対応し生命を守ろうとする重要なセキュリティーシステムなのです。いかがですか?交感神経も大切なのが分かりますよね?
働き過ぎも困るけど働いてもらわないのはもっと困るわけです。
まとめ
最後に交感神経の働きを敵との戦い想像して覚えましょう。
精神活動:促進、活発(アドレナリンで興奮状態)
瞳孔:拡大する(目を見開いて相手の動きを探る)
涙腺:抑制する(泣いてる場合じゃない)
血管:狭める(血の巡りを一時的に速めて筋肉に届ける)
血圧:上昇する(上と同じ)
心拍数:増加する(筋肉に多くの血液を届ける)
気管支:広げる(たくさん酸素を取り込んで動けるようにする)
消化器:抑制する(戦いに集中、消化している暇はない)
膀胱:尿をためる(おしっこしている暇はない)
こんな感じですね。
トイレに行きたいのに行けない時ってその場で小走りしてしまいませんか?あれも活動的になって交感神経を刺激して膀胱におしっこを留めておこうとする自然な反応なんですね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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