あなたは毎日お酒を飲んでいますか?または、あなたのパートナーは毎日お酒を飲んではいませんか?
日本でのアルコール消費量は以前と比べて多くなっており、それに伴ってアルコール性肝障害の人も増えてきています。
アルコール性肝障害には「アルコール性脂肪肝」「アルコール性肝線維症」「アルコール性肝硬変」などがあり、これらが最近では肝がん化するケースが増えてきているという報告もあります。
そのため、こういった肝臓病を予防するために休肝日を作る人も増えてきています。
要は、お酒を飲まない日を作って肝臓を休ませるわけです。
では、お酒を飲まない日を作れば本当に肝臓は休めるのでしょうか?
答えは「NO」ですね。
そこで今回は「肝臓の働きと肝臓の上手な休ませかた」についてお話しします。
Contents
肝臓の働き
皆さんは肝臓の働きがいくつあるかご存知ですか?
実は500個以上もあると言われています!!
アルコールの分解はその中の1つに過ぎないんですね(もちろん重要な働きですけど)。そして、500個の働きの大半が生命維持に必要なものなんです。
つまり、肝臓に休まれたら(休肝日が本当にあったら)私たちは間違いなく死んでしまうということです。だから休肝日なんてあり得ません。
※だからといってお酒を毎日飲みましょうっていう話ではありません。
そんな肝臓の働きの中でも、特に重要な働きがあります。それは「栄養の代謝」「解毒」「胆汁の分泌」です。
栄養の代謝
食べ物は胃や腸で消化吸収され、肝臓に運ばれます。そして、肝臓で運ばれてきた栄養素を熱や体を動かすためのエネルギーに変えたり、皮膚や筋肉に変えたりします。これを「代謝」と言います。
解毒
肝臓は、血液中に入り込んだ有害な物質を分解し体に無害な物質に変化させる働きがあります。一般的な有害物質には「食べ物に含まれる農薬」「食品添加物」「薬剤」「消化しにくいタンパク質」「アルコール」などがあります。
胆汁の分泌
胆汁は肝臓で作られるもので、主な成分はコレステロールを酸化した「胆汁酸」と胆汁色素である「ビリルビン」が混ざったアルカリ性の液体です。食べ物に含まれる脂質の消化吸収を助ける働きがあります。
このように、肝臓には体を作る、動かす働きや異物を除去する働き、消化吸収を促す働きがあります。
肝臓の負担になること
では、そんな働き者の肝臓に負担がかかるのはどんな時でしょうか?
それはやはり、有害物質を体に取り込んだ時になります。
先ほどお話ししたように、体の中に有害物質が入ると肝臓ではそれを無害なものしてくれます。ということは、普段の生活で有害物質を取り込む習慣があればその分、解毒が促されて、肝臓の負担になるということです。
では、どのような時に有害物質は体内に入ってくるのでしょうか?
農薬
野菜は体の調子を整えるために重要ですが、品質を確保するために農薬を使用することがあります。農薬は漢字の通り、農業の薬です。そして、薬は自然なものではなく人工的なものになります。そのため、体ではうまく処理できません。この時に肝臓が働き無害にしてくれます。
食品添加物
スーパーの惣菜や加工食品、コンビニ弁当、お菓子に多く含まれています。これらも、肝臓で無害化されます。代表的な添加物は以下の通りです。
保存料:ソルビン酸カリウム・カルシウム
パラオキシン安息香酸ナトリウム
着色剤:赤106号、黄4号
甘味料:サッカリンナトリウム
発色剤:亜硝酸ナトリウム
保湿剤:プロピレングリコール
酸化防止剤:リン酸塩
普段、買われる商品のラベルを見ると思ったより多くの食品添加物が使用されていることに驚かれると思います。
薬剤
これも農薬と同じです。普段より飲み続けているお薬(痛み止めなど)がある場合、薬による効果も大切ですが、その薬を形作るために化学物質が使用されていることを覚えておきましょう。
薬とうまく付き合う方法はこちらをお読み下さい。→『知らないと危険!!体に負担のかからない正しい薬の使い方』
お肉の食べ過ぎ
たんぱく質はお肉に多く含まれますが、このお肉が消化吸収される過程で「アンモニア」という物質が作られます。アンモニアは非常に毒性が強い物質なため体は急いでそれを無毒化します。つまり、お肉を食べ過ぎるとアンモニアが多く作られるため、肝臓の負担になるということです。
たばこの吸い過ぎ
たばこに含まれるニコチンは80~95%が肝臓で処理されます。また、ニコチンには血管収縮作用があるため、肝臓への血流が悪くなると、酸素が行き届かず負担となります。
揚げ物、甘い物の取り過ぎ
肝臓には胆汁を分泌させて脂質を代謝させる働きがありました。そして、揚げ物はいわゆる脂質になります。そのため、揚げ物を多く食べると肝臓からの胆汁分泌も多くなるため負担となります。
また、甘い物を摂りすぎると血糖値が急上昇します。急上昇した血糖値は膵臓から分泌されるインスリンによって下降していきますが、このときに勢い余って低血糖になることがあります。これを機能性低血糖といいます。高血糖も体には良くありませんが、低血糖はもっと体に良くありません。そのため、体は急いで血糖値を戻そうとしますが、このときに頑張るのが肝臓なんです。(これを糖新生といいます。)
精神的ストレス
肝臓の負担と精神的ストレスには関係がなさそうに思いますが、実はそうでもありません。人は精神的ストレスを受けると自律神経の中の交感神経を強く働かせます。この交感神経は脳を興奮させたり、筋肉を緊張させる働きがありますが、逆に肝臓を含む内臓の働きを低下させてしまいます。
職場や家庭で精神的ストレスがあると交感神経の働きが高まり、肝臓の機能は低下します。それでも毎日食事はするため、食べ物は体内に入ってきます。肝臓はうまく働けないにも関わらず栄養を代謝したり、解毒を強いられるため負担となるわけです。
以上のように、肝臓はさまざまな要因により負担を受けることになります。お酒(アルコール)だけ我慢した日を作っても、肝臓が休めない理由はここにあります。
つまり、お酒を飲まない日を作っても本当の意味での休肝日にはなりません。
だからといって、開き直って毎日お酒を飲んで良いかというとそうでもありません。実際に1週間に1,2日の休肝日(一般的に言うお酒を飲まない日)がある人に比べて休肝日がない人の死亡率は1.5倍以上になるという報告があります。
こうした理由からも、一般的な休肝日はやはり必要です。そして、さらに健康を維持したいのであればアルコール分解以外の肝臓機能も休ませるようにすることが大切になります。
それが本当の意味での休肝日と私は考えます。
肝臓の上手な休ませかた
では、どのようにすれば肝臓を極力休ませることができるのでしょうか?
簡単です。肝臓の負担になることを避ければ良いのです。つまり、休肝日には無農薬の野菜を食べたり、薬の服用を避けたり(血圧の薬など必要なものは仕方ありませんが・・・)することが大切になります。
また、コンビニ弁当を避けたり、お菓子も食べ過ぎないようにしましょう。
たばこは有害物質を取り入れるだけでなく、肝臓の回復に必要なビタミンやミネラルを消費させてしまう特徴があります。休肝日にはいつもより吸うたばこの本数を減らせるように心がけましょう。
そして、精神的ストレスを受けそうなところに極力行かない、または滞在時間を減らすことも重要です。仕事にはいかなければいけないので、一生懸命働いたら終わり次第すぐ帰るようにしましょう。
また、肝臓の負担を減らすと一緒に肝臓の回復を助けることも大切です。それには、たばこの所で挙げたビタミンやミネラルの摂取とその栄養を届けるための血流の担保が重要になります。お酒を飲むと特にビタミンB群、亜鉛、マグネシウムが消費されます。そのため、豚肉や大豆、レバー、卵、チーズなどを摂ることも大切です。
血流においては、食べた後30分間のごろ寝が効果的です。
腸から吸収した栄養は門脈という静脈を通って肝臓に送られるのですが、この静脈は動脈と比べて血圧が低くなっています。さらに、位置的に肝臓は腸の上にあります。この2つの理由により、腸から肝臓に向かう血流は重力の影響を強く受けることになります。
実際に姿勢と血液との関係を調べた報告によると、横になって寝ている状態の肝臓への血液量を100%とすると、立っている状態では70%、歩くなど立って動くことで50%まで減少すると言われています。
そのため、食後は静脈の血液量を保つために、仰向けで30分程度休むことがおすすめです。もし、仰向けや30分の休息が困難な場合は、椅子に腰掛けて足を高くするだけでも効果があります。時間としても10分くらいで良いかと思います。
また、飲み過ぎたり、食べ過ぎたりした次の日は、反省の意味も込めて胃腸を休ませるために朝食を抜く人がいます。しかし、肝臓の回復にはエネルギーが必要です。そして、そのエネルギーはくしくも食事から得られるのです。こうした理由からも、飲み過ぎた次の日だからこそ適度に朝食を摂ることが必要です。
まとめ
今回は肝臓の働きと肝臓の上手な休ませかたについてお話ししました。内臓の中でも肝臓はかなりの働き者であることが分かったかと思います。
完璧な休肝日を作ることはほぼ不可能ですが、今回の内容をもとに生活を見直せば、今まで以上に肝臓を休ませることはできると思います。
人の体は消耗品です。人生を通して最後まで正常に働いてもらうために、普段から肝臓を労ってあげましょう。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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