アレルギーとは、体の外から入ってきた細菌やウイルスに対して、体を守るために働く免疫反応が、花粉やダニ、食べ物などに対して過剰に起こってしまうことをいいます。そして、アレルギー反応を起こさせてしまう物質(花粉、ダニ、食べ物など)をアレルゲンといいます。
我が国の食物アレルギー患者は0歳をピークに加齢とともに減少し、その多くは乳幼児期に発症します。その後も数こそ少ないものの、成人になっても一定の発症数を認めます。
アレルギーは長期的に見れば、徐々に減少するのであまり危険視されないかもしれません。しかし、子供においては特に注意が必要で、比較的軽度のものでは、皮膚のかゆみだったり顔にブツブツが出来る程度ですが、重度になると呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシーショックと呼ばれる状態に陥ると死に至るケースもあります。
アレルギー治療の利点と欠点
アナフィラキシーショックにおいてはテレビなどでも広く取り上げられるようになり、危険を回避するため、お子さんが生まれてから間も無く、病院などで子供が何でアレルギー反応が出るかの検査をするようになりました。
それにより、子供のアレルギー反応が出る恐れのある食べ物を除去することができ、アナフィラキシーショックなどの危険な事態を未然に防げるようになりました。
しかし、これらの対処方法の発展は良いことばかりではありませんでした。
子供のアレルギー反応が出やすいと言われている卵(鶏卵)ですが、卵の栄養素には体にとって必要不可欠な必須アミノ酸が多く含まれています。幼児期においては体の成長が著しい時期であり、2歳から5歳の間で体重は約2倍、身長は約1.5倍にも伸びます。
このような時期に、卵を避けていくことになるため、現代のアレルギー治療は危機的状況を避けれる反面、子供の成長を妨げるという欠点を持ちます。
アレルゲンを体に取り込む重要性
最近の研究報告(卵アレルギーの発症率と生後、卵を食べたお子さんたちと卵を口にしなかったお子さんたちとの比較研究)では、卵アレルギー発症率が、生後12か月まで卵を食べなかった乳児では37.7%だったのに対し、生後6か月からゆで卵の粉末を食べた乳児では8.3%という結果がでており、これを受けて、日本小児アレルギー学会は子供の卵アレルギーについて、「生後6か月から少しずつ食べさせることで、発症を予防できる」として、この予防法を医師らに推奨することを決めたそうです。
つまり、アレルギー反応の恐れ、幼少期に卵を避けすぎると(いわゆる従来のアレルギー治療)、結果、アレルギーは治りにくいということです。
これらのことからも、子供のアレルギー治療においては、主治医の指導の下(何から食べさせるか、平日食べさせるか、休日食べさせるか、何時頃食べさせるか、病院で食べさせるか、家で食べさせるか、症状がどのくらいでたら先生に診せにいくかなど)、少しずつアレルギーの元である食べ物を体に取り入れて体に慣らしていく免疫寛容が重要であると考えます。
免疫寛容とは、食べ物などが体に入った際に、間違えて「これは体に害のあるもの、異物だ、やっつけなければ」と判断してしまうことを「これは大丈夫。問題ないものだからやっつける必要はない」と判断を正すことをいいます。
こうすることで、子供の成長に必要な卵などの栄養素を受け入れることができるようになり、子供の成長障害、しいては長期的に見たアレルギー反応の改善につながります。
以上のことから、アレルギー検査によって分かったアレルゲンを闇雲に避けるのではなく、主治医の指導の下アレルゲンを少しずつ取り入れて、免疫寛容させることが大切です。
私の子供もアレルギーがあり、軽いアナフィラキシーショックに陥ったことがあります。その時は本当に怖かったです。ですが、避け続けても解決しない可能性があるのです。その為、色々な本を読み、専門家に相談しながら頑張っております。
だから、今こそお父さん、お母さんは子供の輝かしい未来の為に頑張る時だと思います。
是非、今回の内容を知識の1つに加えて頂けたらと思います。
【注意】
先程から何度も書きました「主治医の指導の下」はとても重要です。確かに免疫寛容の為に、アレルギー反応が出る恐れのある食べ物を少しずつ体に取り入れた方が良いと言いました。しかし、食べさせる量や頻度などを考えず闇雲に子供に与えると、アナフィラキシーショックに陥る可能性があります。
チャレンジにはかならずリスクが伴います。リスクを想定して、対処方法まで準備して初めて「治療」になります。
その為には、専門家、主治医の指導が必要です。決して、両親だけの判断でアレルギー反応の恐れがある食べ物を与えないでください。
次回からは、アレルギー治療に活かせる食生活についてお話しします。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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