アレルギーとは、本来体の外から入ってきた細菌やウイルスに対して、体を守るために働く防衛反応が、花粉やダニ、食べ物などにも過剰に起こってしまうことをいいます。
そして、アレルギー反応を起こさせてしまう物質(花粉、ダニ、食べ物など)をアレルゲンといいます。
現在、一般的な病院やクリニックで行われるアレルギー治療はアレルギー反応を引き起こすアレルゲンを調べて(卵、そば、ナッツ、甲殻類、牛乳など)それらを食卓から除去し生活しながら、時に現れるアレルギー反応に対して吸入薬やステロイド剤、保湿で対応していいくことが主流になっています。
子どもに多いアナフィラキシーショックを避けるためにも吸入薬などは大切な対処手段です。しかし、ステロイド剤や保湿は過度に用いてしまうと本来体が持つ天然の保湿機能と抗炎症機能を低下させることにつながります。
また、成長著しい0歳から3歳までの間に上記に挙げた栄養素満点の食材を避けることは成長障害にもつながります。そのため、ご自分の信頼できる医師を見つけ、その医師の指導の下少しずつアレルゲンを体内に取り込み免疫寛容を起こすことが重要となります。
そこで今回は免疫寛容につなげやすい「アレルギー治療に効果的な栄養素」についてお話しします。
Contents
まずは基本から
アレルギー治療においてはまず、食べ方の基本について学ぶ必要があります。
詳しくはこちらをお読みください。
→『アレルギー治療に必須の知識!腸内環境を整える4つの方法』
アレルギー反応を抑える副腎にパワーを取り戻させるのも、皮膚や粘膜を強くするのもすべては自分の食べる栄養素によって決まります。下記に挙げた栄養素を意識的に摂るように心がけましょう。
ビタミンD(アレルギー抑制)
ビタミンDはカルシウム代謝に関わり骨を丈夫にするということは皆さんご存知だと思いますが、実はアレルギーにも効果があることが分かりました。
ビタミンDは、本来は異物でないものに反応しないように作用している腸管免疫寛容を調整する作用があります。また、免疫に関わるリンパ球(体内の自衛隊にあたる白血球の一種)の働きを調整し、皮膚や粘膜からのばい菌の侵入を防ぐ抗菌ペプチドを産生さえる働きもあります。
利点としてはステロイド剤のような副作用がないことです。ステロイド剤は体の免疫力を低下させることでアレルギー反応を抑えます。そのため免疫力の低下から感染症(肺炎、気管支炎、インフルエンザなど)に罹りやすくなります。
欠点としては食事からビタミンDを摂っただけでは量としては不十分であることです。ビタミンDはコレステロールを材料として紫外線の刺激によって皮膚で作られます。しかし、現代人はアレルギー反応が出やすい乾燥した冬においては洋服をたくさん着ます。夏においては日焼け止めをたっぷり塗ります。こうすることで紫外線が効率的に皮膚に到達できずビタミンDは作られにくくなってしまいます。
また紫外線のうち、ビタミンDを生成するのはUVBで、これは洋服やガラスを通過できません。そのため、室内で窓ガラス越しに太陽に当たっても効果がありません。1日15分以上、手首から先を直射日光にさらすことで十分ビタミンDが生成されますので、寒い冬でもお子さんと外で遊ぶ時間や日向ぼっこの時間を是非設けてください。
ビタミンDを含む食材には干しシイタケや焼き鮭があります。しかし、干しシイタケは人工的ではなく天日干しでないと十分のビタミンDが含まれていませんし、焼き鮭に含まれるビタミンDもあまり多くはありません。
そのため、ビタミンDにおいてはサプリメントでの摂取が効果的です。実際の治療でも、重度の花粉症、アレルギー性鼻炎やじんましんに対して十分なビタミンDをサプリメントで補うことによって症状が改善するという報告があっています。
ビタミンC(副腎強化)
アレルギー反応を抑える副腎の代謝に関わる重要な栄養素がこのビタミンCです。副腎はストレスによって疲労しますが、ビタミンCはこのストレスに対抗するためのビタミンと言えます。
実際の動物実験においても、過度にストレスを与えた動物の体内では大量のビタミンCが合成されて消費されていたことが分かっています。
現代人においては、仕事がハードだったり、睡眠不足だったり、肉体的、精神的ストレスも多いため、慢性的なビタミンC不足になっています。また、副腎で作られるコルチゾールやアドレナリンはビタミンCが補酵素として働くことで作用を発揮できます。こうした理由からもビタミンCは積極的に摂っておきたい栄養素となります。
ビタミンCは野菜で摂ることがおすすめで特に、ゆでたり、蒸したりして煮汁ごと摂るのが効果的です。果物にもビタミンCが多く含まれていますが糖分も多いため大量の摂取は避けて頂きたいところです。
また、ビタミンC配合のドリンクもあまり効果的とは言えません。ドリンクは飲みやすくするために砂糖が入っていますし、液体に溶けたビタミンCは壊れてしまうからです。
まずは野菜などの食事からビタミンCを積極的に摂るようにしてください。また、ビタミンCにおいてもサプリメントは効果的になります。ビタミンCのサプリメントは天然のものも合成されたものも、作用にさほど差がないからです。
ビタミンB群(副腎強化)
ビタミンCと並んで副腎の強化に欠かせないのがビタミンB群です。なかでもパントテン酸(ビタミンB5)が重要になります。
パントテン酸は、皮膚や粘膜の維持、副腎皮質の機能維持、副腎ホルモン産生に関わります。また、パントテン酸はエネルギー代謝(体内で体を動かすためのエネルギーを作ること)に必要不可欠です。副腎ホルモンを作るにもエネルギーが必要なのでパントテン酸が少ないと副腎機能低下に直結することになります。
副腎がうまく働かないと副腎皮質ホルモンが作られずアレルギー反応を抑えてくれません。だから私たちはついついステロイド剤に頼ってしまうのです...
※エネルギー代謝において、グルコースをエネルギーに変える時に働くアセチルコリンCOA(コエンザイムエー)という物質は、パントテン酸から変化したものです。
パントテン酸とともにナイアシン(ビタミンB3)も副腎機能に不可欠と言われています。ナイアシンはステロイドの合成に関わっているほか、免疫系の機能を維持する役割も担っています。
さらに、ビタミンB6も欠かさせない栄養素と言われています。副腎でホルモンを作るには酵素の働きが必要になりますが、ビタミンB6はその補酵素として働きます。
以上のようにパントテン酸、ナイアシン、ビタミンB6はビタミンB群のなかでも特に重要な栄養素になります。そして、ビタミンBの摂取については、ひとつの法則があります。
それは、「ビタミンB群をまんべんなく摂る」ということです。
ビタミンBは単体で摂ると、効果が極端に減弱してしまうという特徴があります。そのため、ビタミンBを摂取するときは、パントテン酸、ナイアシン、ビタミンB6だけではなく、ビタミンB1、B2、B12、葉酸、ビヨチンも一緒に摂ることが大切になります。
ビタミンB群の摂取不足の原因は現代人の食生活にあります。それが炭水化物メインの食生活とアルコールやカフェインの過剰摂取です。米、パン、麺などの精製加工された食品にはビタミンB含有量が極めて少ないのが特徴です。また、炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変える際にビタミンB群を消耗します。そうすることで、副腎へのビタミンB群の供給が不足してしまうのです
さらに、アルコールやカフェインを過剰に摂取するとビタミンBを消耗してしまいます。また、子どもに使う抗生物質も注意が必要です。ビタミンB群の一部は腸内細菌によって合成されています。抗生物質は病原菌をやっつけるために使われますが、効き目が鋭いため、腸内の細菌まで殺してしまうデメリットがあります。
こういった理由からも、お子さんに使う抗生物質は使い過ぎに注意が必要となります。
ビタミンB群を多く含んでいる食品は、豚肉、うなぎ、豚・牛レバー、たらこ、マグロ、サバ、カツオ、サンマ、鶏ささみ、玄米、サツマイモ、バナナ、落花生などがあります。ビタミンB群もビタミンC同様、水溶性であるため、水を使った調理法では溶けてしまいます。そのためスープごと摂取できる料理にするか、サプリメントで補充することがおすすめになります。
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ビタミンB6の上手な摂り方はこちらをお読み下さい。
→『10年後もキレイでいられる!ビタミンB6の働き【食品一覧付】』
たんぱく質(副腎強化)
私たちの体はほとんどがたんぱく質でできています。そして、体の成長に関わる成長ホルモンやインスリンもたんぱく質が材料となっています。性ホルモンや副腎皮質ホルモンはコレステロールが材料になっているのですが、元をたどればコレステロールの原材料もたんぱく質なんです。
副腎を元気にさせて、ホルモンを十分に作り分泌させるにはやはりたんぱく質が重要となります。しかし、現代人においてはこのたんぱく質も不足していることは言うまでもありません。(炭水化物メインの一品料理が多い)
そもそも、アレルギー治療においてはたんぱく除去のため肉や卵を避けている現状もあります。
子どもにおいてはたんぱく質の分解酵素が作られにくいという欠点もありますので、たんぱく質の分子が小さくなったアミノ酸として摂取することがおすすめです。
具体的には豆腐や納豆などの植物性のたんぱく質は比較的取りやすいと思います。また、お肉においては挽肉を使った料理も良いでしょう。私の家では麻婆豆腐を良く食べています。
子どもも麻婆豆腐が大好きです。
間食においてもたんぱく質を是非意識してみてください。甘いお菓子ばかりではなく、鶏のササミやビーフジャーキー、チーズ、焼き鳥なんかも良いんですよ。どうしても「おやつはお菓子」という概念が強いのですがそんな決まりは全くありません。
誰かが都合よく作った妄想です(たぶん)
グルタミン(副腎、腸、免疫強化)
グルタミンはアミノ酸の一種です。アミノ酸には体の中で合成できないため食事から摂取する必要がある必須アミノ酸と体の中で合成できる非必須アミノ酸があります。グルタミンは非必須アミノ酸アミノ酸に属します。
そのため、普段の食事をしっかり摂れていればグルタミン不足にはなりません。しかし、現代人の食事バランスは決してしっかり摂れているレベルではありません。
アレルギー治療において、グルタミンは免疫系で重要な役割を担っています。グルタミンはリンパ球、マクロファージ、好中球といった免疫細胞を働かせるエネルギー源になっています。
免疫システムがしっかり機能していることがアレルギー治療における条件ですので、グルタミン不足はアレルギー治療の妨げとなります。
グルタミンは、肉、魚、卵、チーズ、昆布、小麦粉、大豆、落花生、アーモンド、ごま等に含まれています。加熱調理によりグルタミンは変質してしまうので、生で食べるかサプリメントで補給することがおすすめです。
ビタミンA(皮膚、粘膜をつくる)
アレルギーは言うまでもなく皮膚や粘膜のトラブルです。
アレルギーはIgA抗体の不足または機能低下により粘膜内に食物などが入り込むことで生じます。ビタミンAはグルタミンとともにIgA抗体の材料になります。また、気道粘膜や鼻孔粘膜には異物を体外に排出するための腺毛というものがあるのですが、この腺毛を正常に働かせるのにもビタミンAが関わっています。
ビタミンAを多く含む食品は、うなぎ、牛や豚、鶏のレバー、銀だらなどがあります。ビタミンAは脂溶性ビタミンなので油と調理することをおすすめします。
詳しくはこちらをお読みください。
→『女性必見!キレイな肌が手に入る、ビタミンAの5つの働きと摂り方』
次回、アレルギー治療に効果的な栄養素の続きをお話しします。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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