もう検査値に惑わされない、ホメオスタシスの機能を詳しく解説!

恒常性

皆さんは健康診断をいつ頃されますか?私の施設では毎年年末か年明けに健康診断があります。そして、この時期は職場においては診断結果の話が飛び交います。

太ったとか痩せたとか、血糖値が高かったとか肝機能が引っ掛かったとかですね。そこでは興味深いことに毎日お酒を飲んでいる人の肝機能数値が正常範囲にあるのに普段飲まない人の肝機能数値が高かったりしています。

まあ肝臓の機能はアルコールの分解だけではないので当たり前ではありますが、この結果に皆さん一喜一憂するわけです。

すると肝機能数値が正常だった人は安心してまたお酒を飲んだりします。でも「血液検査値が正常範囲に入っている」ってそんなに安心できることなんでしょうか?実はそうでもありません。

なぜなら人間の身体は常に一定であろうとするからです。そして常に一定であろうとするためには、ある程度身体に負担が掛かっています。この常に一定であろうとする性質を「恒常性」または「ホメオスタシス」と言います。そしてホメオスタシスを維持しようとするシステムを「アロスタシス」と言います。

そこで今回は「ホメオスタシスとアロスタシス」についてお話しします。

ホメオスタシスとは

恒常性ないしはホメオスタシスとは生物および鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことである。
”Wikipediaより引用”

ホメオスタシスがあることによって外部の環境が変わっても身体は一定を保つことができます。そして、それを支えているのがアロスタシス(体の内部環境を変動させながら調整するシステム)ということです。例えば外が寒ければ身体は勝手に震えだし熱を作ろうとします。逆に外が暑ければ汗をかき熱を体外へ放散してくれます。

私たちはこのホメオスタシスを手に入れることによって変わりゆく環境に適応しながら絶滅することなく子孫繫栄を可能としてきました。

検査値が正常範囲にあるという事は?

データ
注意)今回のお話しは生活習慣が比較的不摂生の方を前提としております。例えば休肝日を設けないで毎日好きなだけ飲むような人ですね。

では、検査値が高過ぎず低過ぎず正常範囲であるという事はなにを意味するのでしょうか?それは、アロスタシスの恩恵をしっかりと受けているということを意味します。

極端に言うとそれだけです!!

決してあなたの生活習慣が健康的であるということを意味しているのではありません。アロスタシスによって毎日お酒を飲んで溜まった毒素が身体を蝕まないように一生懸命排泄したり分解したりして再び恒常性を保とうとしてくれているのです。

検査結果はただそれを実感させてくれたに過ぎません。

誤解されたくないので何度も言いますが、今のお話は身体のことをあまり考えずに比較的不摂生をしている人が前提です。

普段から健康に気を付けてお酒を飲み過ぎないようにしたりバランス良い食事をしたり、睡眠時間を確保したり、適度に運動する人は身体の内部環境はそんなに乱れませんからアロスタシスにそんなに頼っていません。そのため、そのような人の血液検査値が正常範囲にある場合は生活習慣が健康的であるということを意味しています。

※内部環境が乱れるというのは例えば、甘いものを食べ過ぎて高血糖になったりそれを下げるためにインスリンが働いて低血糖になったりすることです。

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検査値が正常範囲にないという事は?

崩れる
では血液検査値が正常範囲にないという事はなにを意味するのでしょうか?それはもうアロスタシスではあなたの身体のホメオスタシスは維持できないということを意味します。

ホメオスタシスを保つことで絶滅を逃れてきた人類がそれを保つことができなくなるということはすなわち生命の危機を意味します。

冷たい言い方をするならこれはアロスタシスに甘んじてきた結果というわけです。もっとアロスタシスを大事に使っていれば良かったなぁと感じる瞬間です。

いままでのお話で分かったと思いますが、あなたが身体に不調を感じて病院で検査をしたけど血液検査で正常範囲であった場合、先生は「大丈夫ですよ!!」と言いますがこれは決して「問題ないですよ!!」という意味ではありません。だって現にあなたは調子が悪くなっているのだから・・・

じゃあなにが「大丈夫ですよ!!」なんでしょうか?

それは緊急事態、生命の危機ではないだけです。

しかし、緊急事態ではないだけで調子が悪いのだから放っておけばいつか緊急事態、生命の危機になるかもしれません。病院は緊急事態の時に活躍するところなんです。病院は検査値に現れない体調不良、いわゆる未病には対応できません。

本当の健康診断は自分の体調に目を向けること

着目
では私たちはなにを目安に生活を見直せば良いのでしょうか?

それは普段の自分の体調です。

注意)ここではあえて健康診断の結果というものを外しましたがもちろん緊急事態に備えて血液検査値も参考にされてください。

朝起きた時のスッキリ感がなかったり、疲労が取れていなかったりしていませんか?最近妙にお腹が張ってゲップが止まらなかったりしていませんか?頭痛や筋肉痛など心当たりのない痛みがありませんか?

これらが健康診断に引っ掛からなくてもある場合は病気の前の未病になります。未病は放っておくと病気につながります。

事実、私が担当したヘルニアの患者さんはヘルニアになる前にめまいや頭痛、肩の痛みを抱えていました。その人はたばこを多く吸い、毎日お酒を飲んで甘いものも好きだったそうです。そしてその人も言いました。「私、血液検査は正常だったのよ」って・・・

セラピストとしての私の検査には十分引っ掛かりましたけどね。この方は肺、肝臓、腎臓、副腎、胃からのストレス情報が身体に現れていました。

以上のように、私の考える本当の健康診断は自分自身の体調に目を向けることです。

健康診断チェックポイント

体調に目を向けるにしてもどのような症状に目を向けるか分からないといけませんよね。下記に病気につながりやすい症状を記載しますので健康診断結果とともに確認してみてください。

□頭痛
□肩こり
□めまい
□立ちくらみ
□吐き気
□物忘れ
□イライラ
□気分の落ち込み
□心当たりのない筋肉痛
□心当たりのない関節痛
□胃膨満感
□痛みを伴う便意
□動悸
□息切れ
□眠気
□疲労感
□便秘
□下痢

これらの症状がある場合、健康診断結果に問題がなくても未病に罹っている可能性があります。

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まとめ

今回はホメオスタシスとアロスタシスについてお話ししました。個人的には適度にアロスタシスを使うことは身体にとって大切だと思っています。時には寒さに身を震わせたり、暑さを感じて汗をかくことも重要です。

現代人は夏はクーラーガンガンの部屋にいてアイスを食べたり、冬はこたつにファンヒーターでぽかぽかです。これではいざアロスタシスが働いてほしい時にスムーズに働かないような気がしています。それが季節の変わり目に多い風邪ではないでしょうか?

食事でも運動でも睡眠でもそうですがすべてはバランスが大切です。食事も食べ過ぎは良くないですが食事摂取量が少ないのも危険です。運動も量を間違うとケガをします。寝過ぎも逆に目覚めが悪かったりしませんか?

ホメオスタシスも適度に刺激することが大切ですが頼り過ぎも良くないと私は思います。

是非、今シーズンの健康診断は「検査値」と「体調チェック」の二項目を使ってみてください。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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