多くの女性が悩む「貧血」には、めまいや立ちくらみなどの有名な症状があります。そのため、このような症状が現れた場合は、「貧血かなぁ?」と自分の健康に目を向けることができます。
しかし、肩こりや手足の冷えが現れた場合に「貧血かなぁ?」と感じる人はどれほどいるでしょうか?
実は、貧血の症状はめまいや立ちくらみだけではありません。そして、仮にめまいや立ちくらみがあっても通常の検査では貧血と診断されないこともあります。
今回は、「隠れ貧血」についてお話しします。
Contents
貧血とは
まずは、貧血について、知識を深めておきましょう。貧血とは、赤血球が不足していることを意味します。一般的な貧血の診断では「血液中の赤血球数」「ヘモグロビン量」「ヘマトクリット」の3つの検査値が用いられます。
この中でも、特にヘモグロビン量が重要になります。
赤血球数(RBC)
赤血球は肺で酸素を受け取って全身の細胞に送り届け、細胞で不要になった二酸化炭素を受け取って肺まで運んでいきます。赤血球数が減ると貧血になります。赤血球数減少の原因として、鉄欠乏性貧血が多いです。
基準値:376~516万個/μℓ
ヘモグロビン(Hb)
ヘモグロビンは赤血球の中にある赤い色素で、酸素と結合して、その酸素を全身に運んでいきます。貧血検査で、一番目安となります。
基準値:11.2~15.2g/㎗
ヘマトクリット(Ht)
血液中に含まれる赤血球の割合を示すものです。赤血球が減れば、当然ヘマトクリットも減ります。
基準値:34.3~45.2%
一般的な検査では、これらの値が表記されて、貧血があるかどうか判断されます。しかし、貧血から生じる不定愁訴(肩こり、手足の冷え、立ちくらみ、めまいなどの特定の病気としてまとめられない漠然とした体の不調)があってもこの検査に現れないことがあるのです。
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隠れ貧血とは
隠れ貧血とは、貧血の指標となるヘモグロビンが正常範囲内にあるが、フェリチンが不足している状態を意味します。フェリチンとは貯蔵鉄とも言われており、鉄分が足りなくなったときに使われる予備の鉄分になります。
フェリチンにはヘモグロビンの材料になるだけでなく、フェリチンそのものにも酸素を運搬する働きがあります。そのため、フェリチンが不足すると、各細胞に酸素が届きにくくなり酸欠になります。
酸欠になった筋肉は硬くなることによって肩こりにつながります。また、酸素が不足することによって身体の細胞には酸素が届かなくなるため、ヘモグロビンでのATP産生が滞ってしまいます。そして、ATPの不足は基礎代謝を悪くします。
ATPはアデノシン三リン酸のことで、身体の熱産生に関わる基礎代謝量を左右するものです。詳しくはこちらをお読みください。『5分でわかる!体温を高めることで得られる4つの効果【仕組みと現状】』
このように、フェリチンはヘモグロビンの材料になるだけでなく、酸素を運ぶ働きがあります。そのため、ヘモグロビンの値が正常範囲にあったとしても、フェリチンが不足していれば、肩こりや手足の冷えだけでなく、めまいや立ちくらみなどの症状も現れるわけです。
ヘモグロビンが正常の値を維持できたのは備蓄していたフェリチンを使っていたからなんです。そして、フェリチン値の検査は、内科や産婦人科で検査してもらえますが、保険検査外項目なので、そこまで検査を行う人はいないのが現状です。ですが、このような知識を持つことによって、自分の症状を正確に分析できるようになり、行動に移せるきっかけとなるはず。
フェリチン(貯蔵鉄)基準値:20ng/mLは注意
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鉄分を効率的に摂ろう
20~40代の女性において、月経による鉄欠乏は高頻度で起こります。また、激しい運動をすると血液中の鉄分が多く代謝されてしまうため、鉄欠乏になる可能性は高まります。
このような理由からも、普段の食事には、鉄分を含んだ食品を並べれるようにしましょう。
鉄分を多く含む食品
・豚
・牛
・レバー
・マグロ
・カツオ
・アユ
・卵
・あさり
・ひじき
・きくらげ
・高野豆腐
・ほうれん草
・ごま
・焼きのり
銅を多く含む食品
また、鉄の利用に欠かせないものがあります。それは銅です。実は、食事から摂取した鉄はそのままヘモグロビンの合成に使えるわけではありません。そこには銅が関わり、鉄が酸化されて初めてヘモグロビン合成に利用されます。
そのため、食事おいては鉄と一緒に銅を摂ることが効率的と言えます。
・魚介類
・豆類
・穀類
・アボカド
・プルーン
・牛レバー
・ほたるいか
・桜エビ
・ほしエビ
・豚レバー
・いくら
・すじこ
・ピュアココア
国民健康・栄養調査においても20~40代女性の実に3人に1人が鉄欠乏にあることが分かっております。自分は大丈夫と過信せずに、上記の食品を生活に取り入れていただき、症状の変化を確認していただけたらと思います。
ちなみに、食事療法は、病院から処方される薬とは違い、即効性はありません。身体に取り入れられた栄養は、生命の維持に必要な心臓や、脳に優先的に使われて、そこが満たされてから徐々に手足や皮膚が満たされるため、症状として確認できるのは2~3か月先になります。
いままで悩んでいた症状を軽減させるためにはあなたの根気も必要です。健康は決して保証されているものではありません。家族みんなで頑張っていきましょう。
また、忙しい日々を送る中で、バランスの良い食事を準備することは容易ではないと思います。そのような時は、食事をサポートできるサプリメントも有効です。
まとめ
以上のように、あなたを悩ませる症状は、必ずしも通常検査では判別されない可能性があります。そのため、あなた自身が、身体の不調の原因を予測できるなるようになることが大切です。
身体に現れる不定愁訴(特定の病気としてまとめられない漠然とした体の不調)は栄養不足からも生じるということを知り、病気の予防や健康につなげましょう。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
こちらの記事は下記の書籍を基に書かれています。とても見やすくかつ読みやすい本です。
参考書籍:LUVTELLI Ⅰ LUVTELLI Ⅱ
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