あなたは、ふと目覚めた時や食事中にあごが痛くなったことはありませんか?
それはもしかすると「顎関節症」かも知れません。顎関節症は2人に1人が発症する身近な病気です。
一般的に、症状は時間とともに軽くなり、自然に治ると言われています。しかし、原因をしっかりと把握しなかったり、間違った治療をしていると再発したり、症状が収まらないことがあります。
そのため、どのような原因で顎関節症になり、どのような治療が推奨されてるか知っておくことが重要です。
そこで今回は「顎関節症の原因と自分でできる治療法」についてお話しします。
Contents
顎関節症の症状
まずは、顎関節症の代表的な症状についてお話しします。ご自分の症状と照らし合わせてみてください。
1.口が大きく開けられない
顎関節症の典型的な症状です。食事中などに口を開けようとしても痛くて開かないことはありませんか?また、痛みがなくても引っ掛かった感じがしたり、口を開けていく時に、口が曲がっていったりする場合も顎関節症を疑います。
ちなみに個人差はありますが、口の開く大きさは指3本分(縦に)くらいが一般的です。
2.あごのまわりが痛い
先ほどと同じように、口を開ける時にあごの辺りが痛かったり、食べ物を噛み締める時に痛くなったりしませんか?これも顎関節症の症状です。また、口を開けなくても、噛み締めなくてもあごの辺りを押して痛い場合も顎関節症を疑います。
3.口を開けるとあごが鳴る
口を開け閉めするときに、耳元で「カクッ!」「バキッ!」「ゴリッ!」「ギシッ!」「ミシッ!」「ジャリ!」などという音がしませんか?実は私も顎関節症を発症したことがあり、私の場合は「ジャリ!」でした。
これも顎関節症の症状ですが、痛みを伴っていなかったり、口がひどく開けにくいというわけでなければ治療対象とはなりません。
音を気にする方が多いですが、肩や肘、膝などを動かしたときに「パキパキッ」と鳴ったりしますよね?それが耳元で起こっているだけですので気にしなくても大丈夫です。(音を完全になくす方法はありません。)
これらの症状がある場合は顎関節症を疑い、「3」の症状を除いて治療の必要があります。
顎関節症が治りにくい理由
顎関節症は時間経過とともに症状が収まり治っていく病気です。とは言うものの現代人の2人に1人は発症・再発しやすい病気でもあります。つまり、治りやすい病気ではあるが再発しやすい病気でもあるのです。
その理由は2つあります。1つは顎関節症になる要因が多岐にわたるということ。もう1つは不適切な治療を行っていることが多いということです。
1.顎関節症の要因が多岐にわたる
顎関節症の要因はいくつかあり、それが重なっていくことで発症すると言われています。以下に要因を挙げます。
・かみ合わせの悪さ
・生活習慣
・ストレス
・関節や筋肉の衰え
・TCH(上下の歯を接触させるクセ)
このように、顎関節症にはさまざまな要因がありますが、赤字で示したTCHの影響が大きいと言われています。あとで、TCHの原因を説明しますね。
2.不適切な治療
顎関節症に対して歯科で行われる一般的な治療には「薬物治療」「スプリント療法」「歯を削るかみ合わせ調整」があります。これらが医療保険で認められている治療法です。ではこれらの治療は果たして適切な治療なのでしょうか?
・薬物治療「〇」
薬物治療は基本的に痛みを落ち着かせるお薬を飲むことです。顎関節症を治すには上記に挙げた顎関節症の要因を改善させる必要があります。しかし、あごに痛みがあると生活習慣である食事や運動、睡眠もまともにできません。そうなれば、ストレスも減らず、いっこうに顎関節症は治りません。
そのため、一時的に薬物に頼り、痛みを軽減させることは効果的と考えます。痛みを軽減させることで生活習慣を整える余裕ができるため、薬物治療は一時的であれば適切な治療と考えられます。
・スプリント療法「△」
スプリント療法はマウスピースを作り口にはめる治療法です。これは顎関節症の一般的な治療法ですが、マウスピースの目的はあくまで一時的な安静であり、顎関節症の根治を図れるものではありません。むしろ、長期的にマウスピースを使用していると歯並びが変わってしまったりするので、長期使用は避けたほうが良いでしょう。
・かみ合わせ調整「×」
長い間、顎関節症はかみ合わせの悪さが原因と考えられてきましたが、そうではないことが分かりました。正確にはかみ合わせも一つの原因ですが、その他さまざまな要因(上記に挙げた)が重なって顎関節症は発症することが分かりました。
実際にかみ合わせを調整しても症状がとれない人もいれば、かみ合わせが悪くてもまったく症状が出ない人もいます。
逆に、かみ合わせ調整のために歯を削ったり、歯を抜いたことによってあごの痛みに加え、かみ合わせの違和感が出る人もいます。これらのことからもかみ合わせ調整は不適切な治療と言えます。
顎関節症の最大の要因はTCH
顎関節症は上記に挙げた要因が重なることで発症しますが、特に影響が大きいのはTCHになります。TCHは上下の歯を合わせるクセ(習慣)のことです。そして、顎関節症の約8割の人にTCHがあることが分かりました。
通常は、ひだりの図のように口を閉じていても口の中では上下の歯同士が離れています。前歯では上下間1~2mm、奥歯で0.5~1mm程度離れています。この状態が関節や筋肉に負担をかけないと言われています。
しかし、TCHでは、安静にしていても上下の歯が接触しています。
私たちは一日を通して歯が接触する時間はわずか20分と言われています。
TCHでは歯の接触時間が通常と比べ明らかに長くなる分、歯をかみ締める筋肉や顎関節に負担を掛けることになります。
筋肉に対しては、「歯の接触による筋活動量増加」➝「筋肉の緊張状態が続いて血液循環が悪化」➝「筋肉の疲労、痛みが現れる」の流れが生まれます。
顎関節に対しては、「歯の接触によって顎関節に力が加わり続ける」➝「圧迫により関節内の血液循環が悪くなる」➝「関節内の摩擦抵抗が増大する」➝「関節痛が現れる」となります。
以上のように、顎関節症はこのTCHに大きく影響を受けます。
TCHコントロール法
では、顎関節の主な原因であるTCHはどうしたらコントロールできるでしょうか?これはクセ(習慣)ですので、ふと上下の歯が接触していることに気づけないといけません。
そのため、気づくための目印を作ることが推奨されています。つまり、自宅内のあらゆるところに貼り紙をするのです。
具体的には5cm程度の付箋用紙に「歯、離れてる?」や「離そう!」など、TCHに気づけるような言葉を書き、自宅内のあらゆるところ(洗濯機の前、玄関、トイレなど)に貼っておきます。
これにより、自分のTCHにふと気づけるようにして、意識的に上下間の歯を離すようにします。一度、肩に力を入れてすくみ上げ、息を「ほっ」と吐きながら肩の力を抜くと同時にあごの力も抜けて歯同士が離れますよ。
私は、定期的に上下の歯の間に舌べらを入れて歯が離れているか確認するようにしています。
顎関節症の治療
今までお話ししてきたことをまとめると・・・
顎関節症は口を開ける時に口が開きにくかったり痛みが出る、またはかみ締める時に痛みが出る病気です。
比較的治りやすい病気ですが、要因が多岐にわたることや不適切な治療を行っているケースでは、症状が慢性化することもあります。
そして、顎関節症に大きく影響を与えるのはTCHと言われる上下の歯を接触させるクセ(習慣)です。
そのため、顎関節症を治すには、TCHをコントロールする必要があります。そのためにはTCHになっていることに気づくことから始めると言いました。しかし、それでも(貼り紙は)TCHになっていることに対しての対処法にすぎません。
そこで、最後にTCHを招きやすい生活習慣をご説明し、その生活習慣を見直してもらうことで顎関節症の治療につなげて頂けたらと思います。ちなみに私は生活習慣を見直すことで痛みがなくなりました。
1.一生懸命に働いている時
職場でのパソコン作業や家事などを一生懸命行っている時は歯を食いしばっていることが多いです。その他、受験勉強中や車の運転で渋滞につかまっている時などもTCHにつながります。時には休憩をし、肩の力を抜くことが大切になります。
2.習慣化した不良姿勢
この記事を読んで下さっているあなたは今、どのような姿勢になっているでしょうか?背中を丸めて(猫背姿勢)読んでいないでしょうか?または、うつぶせで頬杖をついていないでしょうか?実はこういった姿勢はあごを突き出すことになり、顔面や首の筋肉が緊張するためTCHにつながります。
座っている時は、頭は首の真上にくるように意識してください。
3.心のストレス
これもイメージしやすいと思いますが、精神的ストレスを受けている時は歯を食いしばりやすいです。普段の生活において緊張感を感じやすかったり、悩みごとがよく頭に浮かんでしまう方は要注意です。
そんなメンタルを強くしたい場合はこちらをお読みください。➝『紙とペンで出来る!ポジティブ思考になれるビリーフワークのやり方』
4.睡眠
上記の通り、一生懸命になったり、ストレスを感じることでTCHを招きます。そこから考えると、一日の努力やストレスを癒すための睡眠もしっかり確保できないとTCHにつながってしまいます。
具体的には、単純に睡眠時間が少ない、枕の高さが合わない、いつも同じ姿勢(特にうつぶせ)で寝ているなどです。私の場合は一日6時間睡眠とみぎ側を向いた姿勢によりTCHを招き、顎関節症になったと推測しています。
これを7時間半睡眠と仰向けで寝るようにすることで痛みがなくなりました。
以上のように、TCHは普段の生活習慣に影響を受けます。今一度あなたの生活習慣を見直してみてください。
痛みに対する応急処置
とは言っても「今、痛い真っ最中なんですけど(怒)」「痛みが長く続いて内容が頭に入ってこない(悲)」という人もいると思います。そこで、今の痛みに対する処置方法を簡単にお教えします。当たり前の話で申し訳ないですが・・・
まずは、顎関節症の治療にお話しした薬物治療も良いかと思います。痛み止めですね。
あと、安静にしているときは痛くなくて、かみ締めたり、口を開くようないわゆる「動作時痛」がある場合はあごを温めることがおすすめです。マッサージとかでも良いですが、大切なのはあごまわりの血流を良くすることです。
逆に、安静にしていてもズキズキ痛む場合はいわゆる炎症が起きているので温めたり、マッサージは禁止です。しっかりとアイスパックなどで冷やしましょう。そして、安静時痛がなくなってから温めたり、マッサージを行うことが大切です。
そして、最終的には痛みが出ない範囲からあごを動かすリハビリを始めて、痛いか痛くないかくらいまであごを動かすようにしましょう。なぜなら動かさないと関節は硬くなるし血流がいつまで経っても改善しないからです。
まとめ
今回は、顎関節症の原因、発症・再発しやすい理由、対処法や治療法についてお話ししました。
私自身が顎関節症になり、つらい日々を過ごしたからこそ、伝えたいと思い記事にしました。
この記事を読んで一日も早くつらい痛みから解放されることを祈っております。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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